海水生物飼育のための用語辞典

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■亜硝酸(あしょうさん)
魚の食べ残した餌や排泄により、水中にはアンモニアという猛毒の物質が存在するようになる。 濾過バクテリアにより、アンモニアを分解し亜硝酸という物質に変わる。 この亜硝酸も猛毒の物質であり、亜硝酸濃度が上昇した状態は、魚などの生物にとって危険である。アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩と変化する。

■イサザアミ
汽水域に生息する体長1cm程度のエビに似た小型の甲殻類。

■オーバーフロー水槽
水槽とは別の専用濾過槽を所持する。 水中ポンプで上部の水槽に海水を持ち上げ、溢れた海水が専用の大きな穴の開いた太い管のような場所から落下し、海水が循環する。 専用濾過槽に、濾材を大量に追加でき、ヒーター等も入れれる為、水槽内がスッキリし、メンテナンスも容易。高価なのが難点。


■褐虫藻(かっちゅうそう)
サンゴの体内に住む共生藻の事。

■キュアリング
天然のライブロックには水槽内では生存出来ない生物種も多く付着しており、 そのまま水槽へ投入すると死滅・腐敗する可能性が高いため、 キュアリングという作業を行う必要がある。 これは、大量の海水中に強めの水流・エアレーションで攪拌し、 定期的に換水しながら一定期間放置することである。 水槽内でも生存可能な生物のみを水槽へ導入でき、安全である。 ライブロックに付着する生物が必ずしも有益とは限らず、 カニ類は魚を補食したり、レイアウトを崩すこともある。 魚食性のシャコなどが付いていることもある。これらを取り除くことも、キュアリングの目的。

■ケルビン
ケルビン(kelvin、記号 K)は、温度(熱力学温度)を表す単位。国際単位系の基本単位の一つ。 6500K,10000K,20000Kなど。


■硝酸塩(しょうさんえん)
亜硝酸塩がバクテリアで分解されたもの。ある程度は問題がないが、一定以上蓄積されたら、水の交換が必要。 アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩と変化する。




■ナチュラルシステム
好気性バクテリアのみに頼った従来濾過方法とは違い、 こちらは自然の海の原理を採用したシステム。 実際の珊瑚礁で繰り広げられる水質の浄化原理を真似する事で、水槽内でも硝化・還元による窒素循環を再現しようとするもの。 具体的には、特別なフィルターを使用せず、ライブロック、ライブサンドの浄化作用を活用したろ過システム。 ベルリン式やモナコ式などが一般的。


■白点病(はくてんびょう)
一番発生率の高い病気。 繊毛虫の一種であるクリプトカリオン・イリタンス(Cryptocaryon irritans)の寄生によって発症する。 淡水魚の白点病と区別するためにクリプトカリオン症と呼ばれる場合もある。 寄生により成長すると宿主の個体を離れシスト化(被嚢)し、水中あるいは底砂で分裂による増殖をし、 再び寄生するというサイクルを繰り返す恐ろしい病気。 クリプトカリオン・イリタンスは25℃から30℃の高水温を好む。 水槽内には元々原虫は潜んでおり、体力が落ちた魚に白い点が付着する。 水温差の激しいと発生しやすい。昔から硫酸銅治療が一般的。ヒコサン治療薬などもある。 一般的には、硫酸銅による治療が有名だが、貝やライブロックが入っている水槽では使用できない。 硫酸銅は入手しにくく、グリーンFゴールドによる治療も良く行われる。 詳細は、多数のサイトが多数あるので、ご参照。

■比重(ひじゅう)
真水は1.000。比重とは、水の重さと比較した場合の比率のこと。 水槽内では、海水の温度が約25度の場合、通常は1.020〜1.023の範囲の比重に調整する。(天然海水だと1.020〜1.030の範囲)。 比重計にてチェックし、比重が高い時は薄め、低い時は濃くする工夫をする。

■ブラインシュリンプ(Brine shrimp)
乾燥耐久卵は保存が効き、塩水に戻すと12時間から24時間程度で幼生が孵化する。 稚魚の飼料として、アルテミア(多くは Artemia franciscana)の卵が用いられている。 この方面でのアルテミアの通称はブラインシュリンプである。 なお、もっと小さい餌が必要な場合には、海水魚用にはシオミズツボワムシが用いられる。

■プロテインスキマー
円筒形の筒の中で超微粒の空気の泡を発生させ、海水中の細かいゴミや不要な栄養素(コケの発生原因となる)などを 除去する道具。鍋のアクを取るイメージに似ている。 ナチュラルシステムという飼育方法には欠かせない装置。 また、不要な栄養素だけでなく、生き物に必要な栄養素も除去してしまうので 定期的な微量素の補充(添加剤を使用)が必要となる。

■ベルリン式
海棲生物飼育法のひとつ。 一般家庭における趣味として様々な手法でこれらのサンゴが飼育されているが、 いずれもベルリン式を基本として発展させたものと考えることが出来る。 プロテインスキマーや紫外線殺菌灯といった人工的濾過装置・浄化装置を積極的に用いる。 また、特にサンゴの飼育には炭酸塩濃度の維持が重要となるため、カルシウムリアクターを 用いるのが普通。 カルシウムリアクターは原理的に飼育水の水素イオン濃度(pH)を低 させるため、強塩基である水酸化カルシウム飽和水溶液を添加する場 合もある。これにはサンゴ類に有害なリン酸イオンを除去するという副次的効果が期待される。 ベルリン式水層の水質維持に必要なものとして、高照度の照明が挙げられ、現在は メタルハライドランプが主流である。


■水換え(みずかえ)
水槽の飼育水には、この硝酸塩が蓄積されて行く。 また、海水のミネラル分は次第に減って行き、海水の質が劣化する。 そのため、定期的に水槽内の海水の一部を新しい人工海水などに交換することで解決させる。 その作業を水換えと言う。水換えの時には、出来るだけ温度や比重を合わせて、実施する。

■モナコ式
海棲生物飼育方法のひとつ。 モナコ水族館で発案されたことからこう呼ばれる。 水槽底面にスノコ状の穴の空いた板(プレナム)を敷き、 その上にサンゴ砂を厚めに敷き(場合によっては数十cm)、 ライブロックを大量に投入することで、自然界の物質交換を 再現しようとするもの。 ただし、プロテインスキマーやカルシウムリアクターなどの器具に頼らないことが多く、魚類を多く飼育する水槽には余り向いていない。




■ライブロック
Live Rockとは、文字通り「生きている岩」のことで、主にサンゴの死骸の石灰石などの表面に 赤い石灰藻という硬い藻のようなものが付いている石。 ライブロックには無数の穴があり、そこには沢山の小さな海洋生物が生命の宿っている。同時にライブロックは強力な環境浄化機能を持つ。 カルシウム、ヨウ素、ストロンチウムなどの海水中の必須元素を補充すると、ライプロックの石灰藻は成長してくれるようだ。


■ワムシ
主にシオミズツボワムシの事。 海水産の動物性プランクトンの一種。 ブラインシュリンプが大きすぎて補食出来ないような小型の稚魚に与える。

アルファベット
■DSB方式
Deep Sand Bedの略で、文字通り、かなり厚く底砂(ライブサンド)を敷き、ろ過を行うシステム。 モナコシステムとは基本的に同じだが、砂を厚く敷く事によって、低酸素層に酸素が入ってこないようにしてある仕組み。

■LPS
Large-Polyped Scleractinianで総称されるサンゴ種を表す略語。 オオバナ、コハナガタ、ナガレハナ、コエダナガレハナ、キクメイシ、クサビライシ、ハナガササンゴなど、ポリプが大きな石サンゴのこと。 ハードコーラルを環境への適応力などで二つに分類する場合、 ポリプの大きさでSPSとLPSに分けて表現される。 ■pH
物質の酸性やアルカリのの度合いを示す数値。 pH(potential Hydrogen, power of Hydrogenの略)という記号で表される。 pHの読みはピーエイチ(英語読み)、またはペーハー(ドイツ語読み)。 とくに断らない場合は水溶液中での値を指す。 なお、pH=7の場合は中性と呼ばれる。 pH値が小さくなればなるほど酸性が強いとされ、逆にpH値が大きくなればなるほどアルカリ性が強いとされる。 海水の場合、平均して約8.2?8.4程度と言われている。つまり、アルカリ性である。

■RO水
RO(Reverse Osmosis)は、半透膜に浸透圧と逆らう形で大きな圧力をかけることで「逆浸透」をおこさせる技術のことで、 RO水はこの逆浸透膜(RO膜)でつくられた水のことをいう。コケの発生を抑えるのに効果的。

■SPS
Small-polyped scleractinianで総称されるサンゴ種を表す略語。 ミドリイシサンゴ、ハマサンゴ、コモンサンゴなど、ポリプが小さい石サンゴのこと。 ハードコーラルを環境への適応力などで二つに分類する場合、 ポリプの大きさでSPSとLPSに分けて表現される。
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